時代を超えるエレガンスを身にまとうために、男に本当に必要なものは何か。ダヴィデ・ビオンディにとって、その答えはファッションのランウェイにも、マーケティングの手引きにもない。答えはシンプルで革命的だ——必要なものはすべて一つの鞄に収まるべきだ。ジーンズ、スウェットシャツ、Tシャツ、靴下、そしてバンダナ。その鞄はオートバイの座席から掛けられるものでなければならない。こうして〈ヘンズ・ティース〉が生まれた——流行を追うのではなく、象徴を築くブランド。本物の品々が、物語を語りうる力をもち、時の経過に耐える。
個人的な美学の源流
ダヴィデはアブルッツォ州のアドリア海沿岸、ペスカーラで育った。海と山に囲まれた日々の風景が、彼の生活を形づくっていた。幼い頃から彼は芸術と衣服に惹かれ、絵を描き、布地を集め、古い衣服を解体してその仕組みを探った。だが何よりも、彼が見つめていたのは父のジーンズだった——擦り切れ、色あせ、仕事の跡が刻まれたその一本。単なる衣服ではなく、生きた証そのものだった。そこには、着る人の疲労や汗、そして尊厳が宿っていた。そのとき芽生えたのが、デニムへの愛である。身にまとう人とともに変化していく、生きた布——それが彼にとってのデニムだった。
ダヴィデにとって、幼い頃から身近にあったジーンズは、それぞれが着る人の物語と歴史を語る存在だった。
同時に彼は音楽院に通い、ヴァイオリンとピアノを学ぶ傍ら、美術にも取り組んだ。最初は職人の工房で、のちにボローニャ美術学院で本格的に学ぶことになる。彼の情熱はやがて絡み合い、音楽は創作のリズムとなり、絵画はグラフィック的な署名となり、そしてオートバイは自由への夢となった。家族のガレージで見つけた古い赤いモト・グッツィが、彼の想像力に火をつけたのだ。動かない車輪、ガソリンと鉄の匂い——それらは独立と冒険の象徴となり、その精神はいまも〈ヘンズ・ティース〉の隅々にまで息づいている。
「ヘンズ・ティース」という名は、この哲学を体現している。十九世紀のアメリカの表現で、「めったにないもの」「ほとんど存在しないもの」を意味する——まるでニワトリの歯のように。ブランドの服も同じだ。唯一無二で、手に入りにくく、二度と同じものは作られない。
あらゆる代償を払ってまでの成長を拒むこと
カリフォルニアでの滞在期間中、ダヴィデは自身の絵画を展示し、アメリカのヴィンテージ文化やストリートスタイルを吸収した。その後イタリアに戻り、大手ファッション企業で働くことになる。しかし、「スケーラビリティ」や大量生産にとらわれた産業的な環境は、彼にとって息苦しいものだった。そこで彼は流れに逆らう決断をする。終わりのないコレクションも、市場に支配されたシーズンもつくらない。手作業による限られた数の作品だけ——芸術、記憶、機能性の交わりから生まれる一点ものだけを生み出すことにしたのだ。
「ヘンズ・ティース」という名は、この哲学を体現している。十九世紀のアメリカの表現で、「極めて稀なもの」「ほとんど存在しないもの」を意味する——まるでニワトリの歯のように。ブランドの衣服も同じだ。唯一無二で、手に入りにくく、再現不可能な存在である。
一本の縫い目ごとにダヴィデの手が通り、すべてのグラフィックは彼自身が描き、すべてのパッケージは彼の手で折られ、ラベルが貼られ、発送される。オートメーションと流れ作業の時代にあって、〈ヘンズ・ティース〉は文化的抵抗の象徴として存在している。
ゆっくりと育つコレクション
最初のキット、一本のリジッドジーンズ、スウェットシャツ、Tシャツ、バンダナ、靴下をひとつのバッグにまとめたもの——から、このプロジェクトは少しずつ広がっていった。ベスト、ワークシャツ、キャップ、そしてマリアンナと共に手がけたウィメンズライン。各シーズンに登場する新作はごくわずかだ。ジャケット、新しいシャツ、希少な生地——焦りはなく、ただ静かで意識的な成長だけがある。
「少しずつ加えていく方がいい」とダヴィデは語る。「なぜなら、すべての衣服には意味と魂、そしてそれぞれの尊厳がなければならないからだ。」
ヘンズ・ティースおよびダヴィデ・ビオンディによる最新のフォトシュート画像提供
〈ヘンズ・ティース〉という宣言
今日のヘンズ・ティースは、もはや単なるブランドではない。それは真正さの宣言である。型にはまることを拒み、無限の成長という教義を追い求めなくても生きられることの証明でもある。それはまた、立ち止まり、希少性や職人技、丁寧に費やされた時間の価値をあらためて見つめ直すための招待でもある。
「ヘンズ・ティースは、ひと針ずつ縫い合わせた私の世界なんです」とダヴィデは語る。「その中には、私の愛するすべてが詰まっている。アート、グラフィック、オートバイ、そして生地。それは単なるブランドではなく、私の人生を服という形に翻訳したものなんです。」
ファストファッションが支配する世界の中で、〈ヘンズ・ティース〉は私たちに思い出させてくれる。エレガンスとは量ではなく質であること。ファッションではなく、アイデンティティであること。そして何よりも、希少性こそが——今この時代においてかつてないほど——最も純粋な贅沢のかたちであるということを。